アストラゼネカ(AZN)の株式分析

英国のヘルスケア・セクター(製薬企業)に属す、アストラゼネカ(AZN)の株式分析について。

英国
配当金の税率
(配当税率)
20.375%
(=所属国の現地課税0%
×日本課税20%)
業種11分類ヘルスケア・セクター

売上高・利益・営業利益率

直近15年で、売上高は2/3・利益は半減とあまりよろしくない。営業利益率は20%程度で、大手製薬としては低め(他業種よりははるかに高いが)。

売上地域については、この様になっている。

地域別推移は、この様になっている。

直近3年だけ切り取れば、どの地位でも売上増加している(ヨーロッパのみ微減)。

株主還元(配当金・自社株買い)

営業利益は減少している(左軸)。

発行株式数は停滞しており、つまり自社株買いする余裕がない。

一株利益は減少。

配当金は1.4ドルを(借金してでも)死守してくれており、株主還元の意識は高い。但し配当金>一株利益の状態のうえ、自社株買いもしてくれてない為、増配は望めない。

株価・営業利益の伸び率(平均値と比較)

営業利益は失速(売上高も失速)なのに、株価は市場平均(S&P500)に互角である。つまり割高化している。

直近の株価

財政健全性

自己資本、他社資本(負債)、DEレシオの推移を示す。

この数年は負債が減らせず、自己資本のみ減少の一途。当然DEレシオも高く、平均的に高め水準の米国・英国企業としても高めの数字である。

売上内容について

売上内訳は、100%が医療用医薬品である(一般医薬品・生活必需品などは一切売っていない)。その内訳を以下に示す。

医療用医薬品の内訳

大手製薬企業らしく、売上分野は分散できている。売上上位分野のがん(Oncology)、心血管・腎臓・代謝疾患(Cardiovascular&Renal&Metabolism)、呼吸器(Respiratory)はいずれも薬を使い続けないといけない分野で、しかも疾患人口は(人口増&高齢化により)増え続けている。

おなじ英国の大手製薬であるグラクソ社(GSK)とは特徴が違うことがわかる。

医療用医薬品>代表的な個別薬の売上について

個別商品について

商品名タグリッソ錠40㎎・80㎎®
(一般名:オメシルチニブ)
分類低分子医薬品
(低分子だが例外的に分子標的製剤に属す)
治療対象肺癌
特徴1日1回の内服でOKの抗がん剤。
(肺癌の分子標的内服はこのパターン多い)
イレッサ(RHHBY)の改良版といえる。
商品名イミフィンジ点滴静注®
(一般名:デュルバルマブ)
分類バイオ医薬品(その中で分子標的薬剤に属す)
治療対象非小細胞肺癌
特徴点滴は2週間(放射線後)or
4週間間隔(その他)となる。
商品名リムパーザ®
(一般名:オラパリブ)
分類低分子医薬品
治療対象卵巣がん・乳癌
特徴1日2回の内服薬(通院が頻繁でなくてよい)
商品名シムビコート配合吸入®
(一般名:ブテゾニド+ホルモテロール)
分類低分子医薬品
治療対象気管支喘息
特徴ステロイド+長時間型βの配合吸入で、
コンセプトはグラクソ社のアドエア®と同じ。
後発品発売のため厳しい。

病院薬剤師からみた見立て

呼吸器系がメインであるが、抗がん剤・循環器薬も発売できており分散している。

クレストール®・シンビコート®あたりは後発品発売のせいで期待できないが、他の主力薬はどれも特許長いし、また疾患人口がふえてきているので将来性あり。

また呼吸器系薬の開発力があるため、コロナ感染症の治療薬・症状緩和薬も今後作れることが予想される。

財政不安に目をつぶれるのであれば、(主力薬は手堅い為)投資先として有りだと思われる。

出典元(企業の年次報告書・10K・その他)

アストラゼネカ(AZN)年次報告書(英語:2019年2018年2017年)

関連項目

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