メルク&カンパニー(MRK)の株式分析

米国のヘルスケア・セクター(製薬企業)に属す、メルク&カンパニー(MRK)の株式分析について。

米国
配当金の税率
(配当税率)
28%
(=所属国の現地課税10%
×日本課税20%)
業種11分類ヘルスケア・セクター

売上高・利益・営業利益率

直近15年で、売上高・営業利益とも上昇傾向。営業利益率は20%前後で上昇傾向。

売上地域については、この様になっている。

地域別推移は、この様になっている。

どの地域でも売り上げを伸ばし続けている。

株主還元(配当金・自社株買い)

営業利益は右肩上がり(左軸)。

発行株式数は増資した時期もあったものの、基本的には右肩下がり(右軸)。発行株式数の減少は自社株買いによるもの。「会社は株主のもの」と考え株主還元に積極的な、米国企業らしい傾向である。

どちらも、株主にとっては朗報である。

一株利益は右肩上がり。配当金は連続増配50年超の、「配当王」にあたる。

今後も連続増配の余裕あり。それは一株利益>>配当金となっているため(=配当性向が100%を大きく下回る)。

一株利益の上昇は、営業利益の増加によるものだけではない。発行済み株式数の減少(=自社株買い・消却)によるもの。

(例:分母が同じ1億円の利益でも、分子である株式数100万株なら1株100円、株式数50万株なら1株200円の1株利益)

株価・営業利益の伸び率(平均値と比較)

営業利益・株価とも市場平均(S&P500)に互角である。なお株価の伸びに配当金は加味されていないので、実際はこれ以上に伸びている。

直近の株価

財政健全性

自己資本、他社資本(負債)、DEレシオの推移を示す。

DEレシオは1を切るが、近年上昇傾向。それでも「その気になったらいつでも全額返済可能」な状態に変わりはない。

売上内容について

売上内訳は、81%が医療用医薬品・19%はワクチンである。その内訳をしめす。

医療用医薬品+ワクチンの内訳

医療用医薬品の中では、対象疾患が分散できている事が特徴。

医療用医薬品>代表的な個別薬の売上について

複数の分子標的薬剤を売上るのに加え、ワクチンに強い。

個別商品について

商品名キイトルーダ®(一般名:ペムブロリズマブ)
分類バイオ医薬品(その中で分子標的薬剤に属す)
治療対象がん(悪性黒色腫、腎がん、肺癌)
特徴特許は長く残る。
超高額薬として有名なオプジーポと同系統。

商品名シンポニー皮下注®(一般名:ゴリムマブ)
分類バイオ医薬品(その中で分子標的薬剤に属す)
治療対象関節リウマチ・潰瘍性大腸炎など
特徴特許が長く残る。
有効性も同社のレミケードと同程度あり。
4週に1回、自己注射でOK(通院不要)という
お手軽さで売上増。

商品名レミケード静注®(一般名:インフリキシマブ)
分類バイオ医薬品(その中で分子標的薬剤に属す)
治療対象関節リウマチ
潰瘍性大腸炎・クローン病
特徴分子標的薬剤の黎明期から存在した。
しかし特許切れし、バイオシミラーは
ほとんど同じ適応を持つ為将来性なし。
商品名ベルソムラ錠®(一般名:スポレキサント)
分類低分子医薬品
治療対象不眠症
特徴低分子薬ではあるが眠剤の分子標的はなく、
売上安定。従来の眠剤にあった副作用「せん妄」
「脱力・転倒」などはなく、高齢者に使いやすい

商品名ゼチーア錠®(一般名:エゼチミブ)
分類低分子医薬品
治療対象脂質異常症
特徴コレステロール低下薬でも「吸収阻害」系統
はこれが初めて。他の脂質異常症薬と安全に
併用できるため売上多かった。
しかし特許切れし、売上減少傾向。

商品名ジャヌビア錠®(一般名:シタグリプチン)
分類低分子医薬品
治療対象2型糖尿病
特徴経口糖尿病薬の中で「DPP-4阻害剤」系統といえば
これが始めて。低血糖リスクほぼないのに確実な
血糖降下で、多用された。
しかし「投与量と効果が比例しない」
「腎機能に応じ調節必要」など癖も強く、
また特許切れも近い為将来性はない。

病院薬剤師からみた見立て

医療用医薬品の分野では、分子標的の新薬を多発できており、将来を望める。またワクチンも対象人口の多い疾患で、使いやすい物を発売できている。

財政的にも今の所問題はなく、将来性のある会社と考えられる。

出典元(企業の年次報告書・10K・その他)

メルク&カンパニー(MRK)年次報告書(英語:2019年度2018年度2017年度)

関連項目

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