病院薬剤師の業務例

ここでは、病院薬剤師の業務例を挙げる。

なお大まかには本ページ例の通りだが、細かな業務内容は病院ごとに異なる。

【参考:病院ごとに異なる業務】
●薬剤師の多い病院では、入院患者の薬剤管理も(看護師ではなく)薬剤師が行う
●医薬分業していない病院では、「外来調剤」も午前中に追加される

そのため、参考程度にされたい。

全体的な業務の流れ

薬剤部の準備・片付け

パソコン類の再起動:夜間の間に電子カルテ上で新薬登録された等のメンテナンスされていた場合、変更反映させて再構築するためである。再起動を怠ると、他の端末では入力できるのにこの端末でだけできない、表示がヘン、などの不具合を生じる為危険。

調剤機器の準備:調剤機器=錠剤分包機・散薬分包機・散薬秤量システム・軟膏混合器・乳棒乳鉢・錠剤カッターなど。忙しくなっても大丈夫なように、業務の立て込んでいない朝一に準備の限りをしておく。前営業日の夕方終業時、洗ったものばかりである。

注射箋の受付・発行・調剤:注射薬は緊急使用が多いため、注射箋の発行は必要。もし病棟にストックのない薬がでている場合、病棟に届けないといけない。

処方箋調剤

基本的に全て一包化・粉砕なしにて調剤。

なお調節したほうがいい薬に関しては、別包にする。

便秘・下痢症状
に合わせる為
パンテチン錠、
酸化マグネシウム錠
最低限使用と
したい為
ゾルピデム錠、ブロチゾラム錠

【補足:一包化する理由】
院内の薬管理スタッフが、多数の患者の薬を管理するため。万一バラバラになった時でも、一包化して名前・用法の印字さえあれば正しく服用できる。

処方箋鑑査

処方箋鑑査

処方箋薬(内服・外用・自己注射薬)の鑑査では以下を気を付けて行う。

知識的には「注射箋鑑査」「DI業務」とほぼ同じである。やはり大学での知識が必要である。

①相互作用(薬剤学が必要)
②重複投与の有無(薬理学が必要)
③患者のいまの状態×薬がふさわしいか(病理学が必要)
④その薬(類似薬)での副作用が無い事
⑤処方箋と現物は正しいかどうか(ヒヤリハット)

①相互作用

薬学部の薬剤学で習うので、薬剤師は気が付きやすいポイント(逆に医師・看護師では見落とすポイント・薬剤師しか止められないミス)。とくに他院受診があると発生しやすい。

②重複投与

医師が見落としがち。

特に配合剤が絡むととても多い。たとえば「アムバロ配合錠」が処方されていても、さらに追加してアムロジピン錠5㎎、と処方されてしまう。

<例題>
【A医院処方】
●フルニトラゼパム錠1㎎×2錠
 分1就寝前×28日分
【当院処方】
●ユーロジン錠®2㎎×1錠
 分1就寝前×28日分
●ジアゼパム錠5㎎×1錠
 頓用不眠時×28回分
患者の訴えで「最近夜は寝れないのに、日中は眠くて仕方がない。車の運転もぼんやりしてできず、事故を起こしかけた。」と相談あり。相談者は83歳男性。

・・・Ans:あきらかな重複で、中時間型の睡眠薬がフルニトラゼパム・ユーロジンと重なってしまっている。だいいち、83歳男性にフルニトラゼパム2㎎は多すぎるのだが、これは寝付けないと言われて増やした結果だろう。(医師は慎重投与薬でも知らずにバンバン使う為傾向が強い)よく入院時の薬チェック(管理人の施設では”検薬”と呼ぶ)において、こういう重複は散見される。普通入院後の内服薬は入院前とできるだけ同じにするものだが、このケースではそうできない。むしろ睡眠薬を2科とも全て止めて、ゼロから相応しい睡眠薬を試す。

ちなみに退院指導では、もとのA医院むけの紹介状で重複投与の旨を記載する(さすがにA医院へ行くなとはいえない、病院同士の関係性が悪化する為)。

<例題>
●クラリスロマイシン錠200㎎×1錠
 分1朝食後 28日分
●レボフロキサシン錠500㎎×1錠
 分1朝食後 5日分
・・・重複投与ではないか?このまま処方箋だしてもよいか?

・・・Ans:このまま出してよい。一見抗生剤の重複投与に見えるのだが、じつは重複ではない。クラリスロマイシン=14員環マクロライドは抗生剤としての効果というより、「免疫賦活作用」「菌のバイオフィルム形成(抗生剤・免疫からのバリア)を阻害」を狙って出す事があるからだ。

③患者の状態×薬

薬剤師が見落としがち。それは「薬は見ても、患者を見ない」人間が薬剤師には多いため(特に調剤薬局薬剤師)である。

患者の状態とくすり
③-1腎機能とくすり

腎機能とくすり(外部リンク・このページが使いやすい)を参照

腎機能とくすりの使用問題は、かなり多い。腎機能は高齢化でだんだん悪化していくものだし、透析患者の病院受診率は高い(病院薬剤師との遭遇率が高い)からである。

(先ほどの腎機能とくすりの表を)全部覚えるのは難しい為、以下を考えるだけでもかなり楽である。

抗菌薬は全て腎機能注意と考える。
例外的に腎機能を気にしなくていい抗菌薬で、当院採用薬を覚えておく。
金属イオン入りの薬は全て注意(肝代謝できず腎排泄しかできない為)
NSAIDsは全て注意➡カロナールやペンタゾシンやトラマドールに変えると楽
腎排出させる系の薬理(アロプリノール等)

<例題>
●レボフロキサシン錠500㎎×1錠/分1朝食後・5日分
よく電子カルテをみると、「当院透析患者」の記載あり。

透析のたった2文字のために、大変危険である。レボフロキサシン錠の添付文書(外部リンク)をみると、このような記載あり。

つまり以下の様に、処方修正が必要。

●レボフロキサシン錠500㎎×1錠/分1朝食後・1日目
●レボフロキサシン錠500㎎×0.5錠/分1朝食後・3日目と5日目

③-2肝機能とくすり

肝機能とくすりを参照

肝機能が悪い人間に注意する薬も少し存在。但し、頻度的には腎機能とくすり問題の方が圧倒的に多い。

③-3認知状態とくすり

薬剤師が特に落としやすい箇所。

<例題>
●プランルカスト錠112.5×4錠/分2朝夕食後で処方
だが、夕食後の薬を結構飲み忘れている。退院後は独居で、管理してくれる人間はいない。

➡患者の状態をみると、認知悪く朝食後ならなんとか服用できているとする。分1にすれば自己管理できそうだ・・・とわかるので、類似薬で分1の「モンテルカスト錠10㎎」に変更してもらう。

<例題>
●アレンドロン酸錠35㎎×1錠/分1起床時(木曜日)
●エルデカルシドールCap0.75μg×1錠/分1朝食後
●トラマールOD錠25㎎×4錠/分4毎食後・寝る前
●アトルバスタチン錠10㎎×1錠/分1朝食後
入院時に以上の薬を持ち込んだが、朝食後以外の薬は飲み残しだらけ。聴くと「朝食は一緒に食べる娘が管理してくれるが、あとは娘がいないので自分では飲み忘れてしまう」とのこと。

➡どう考えても、朝食後以外のコンプライアンスが悪い。朝食後のみ、「一緒に食事する娘」が安全管理してくれそうである。

・・・ということは、用法をできるだけ朝食後にまとめてしまえば早い。すると、このように工夫できる。

アレンドロン酸錠35㎎
×1錠/分1起床時(木曜)
アレンドロン酸錠5㎎
×1錠/分1起床時(毎日)
エルデカルシドール
Cap0.75μg
×1錠/分1朝食後
そのまま
トラマールOD錠25㎎
×4錠/分4毎食後・寝前
ワントラム錠100㎎
×1錠/分1朝食後
アトルバスタチン錠10㎎
×1錠/分1夕食後
アトルバスタチン錠10㎎
×1錠/分1朝食後

※アレンドロン酸は半年に1度「テリボン注射」してもらう手もあり

※ちなみに患者が退院後、服薬ミスをして健康を害した場合、医師・薬剤師が責任を問われる可能性がある。『私はしっかり指導したのに!』では通らない。そうならない為にも、このような変更はかなり重要になる。

看護師による患者認知評価(長谷川式スケール)についても、管理の目安にはなる。

③-4患者の嚥下状態とくすり

薬剤師が落としやすい箇所。

<例題>
●アスパラカリウム錠300㎎ 9錠/分3毎食後。
電子カルテをくまなく見ると、看護師記録で「PEGにて薬・栄養剤投与」と記載あり

➡患者の状態をみると、PEG=胃瘻栄養である。つまり胃瘻管を通して投与であり、錠剤は粉砕しないと飲めない。

そもそも病院薬剤師であれば「NGチューブ」「PEG」「PEJ」などの専門用語は必須知識である。

【補足:病院薬剤師の必須知識】
●NGチューブ:鼻から胃までのチューブ。結構細い管。
●PEG:腹部に穴を開け、胃に直接いれるチューブ。太目だが錠剤は通らない。
●PEJ:腹部に穴を開け、小腸に直接いれるチューブ。太目だが錠剤は通らない。

④その薬(類似薬)での副作用が無い事

電子カルテの見落としはやりやすい。怖いのは一見問題ないように見えること。

<例題>
●ケトプロフェンテープ40㎎(10㎝×14㎝) 14枚/1日1回 腰部
本人への問診は未だ行っていない(これから始めての問診)

・・・薬剤部が非番の日であれば、このま患者に渡すところである。一見問題なさそうなのだが、「この薬での安全確認が取れていない」という穴がある。

ちなみにこの患者のケースは以下。

●薬アレルギーはあるかの問いに、「経験ない」と回答
●点滴や注射薬も含めてアレルギーがないのかと聞くと、以下の回答:「5年前に腰痛で注射した際、気分急激に悪くなって倒れ、ステロイドとアレルギー止めを打って寝込んだら軽快した」
●5年前の注射を検索すると、「カピステン注射」が被疑薬だった。
●薬アレルギー欄にカピステン注射の記載はなかった。その為管理人が記録し、同成分であるケトプロフェンテープを他剤変更するよう医師に電話した。
●テープ剤はロキソニンテープ100㎎へ変更。看護師が状態みながら慎重に使うよう、指示をした。(使えればロキソニン成分はホワイトと解り、以降安全使用できると解る為)

患者アンケートをさぼり、テープでアレルギーでた場合は非常に怖い展開である。

薬アレルギーというのは普段見かけないが・ひとたび発生すると非常に怖く油断できない。以下のような怖い事例も、実際に発生している。

蜂窩織炎の為に整形外科を受診。問診票に「CCL 全身真っ赤」と記載された。また「CCL禁 第一世代抗生剤はダメ」と記載されたお薬手帳を所持したが提出されず、診察医やほかの医療者にアレルギーが確認されなかった。
抗菌薬セファゾリン(第一世代セフェム)が投与されて数秒の時点で「口の中が熱い、全身が熱い」と訴え有。3分後には血圧測定不能となった。
(中略)
低酸素脳症を発症。(中略)積極的治療は行えず約11か月後、死亡した。

警鐘事例~事例から学ぶ より引用

【処方箋鑑査のさいのポイント】
●処方箋薬(注射箋薬) と 処方箋(注射箋)が正しいか見る
●処方箋薬(注射箋薬) と 電子カルテ記録(患者の状態:前述の①~④の項目)がふさわしいか見る

注射箋鑑査

注射箋鑑査

知識的には「処方箋鑑査」「DI業務」とほぼ同じである。それに加えて、「注射薬ならではの知識」が必要に。やはり大学での知識(病院業務・薬局業務の授業内容)が必要である。

注射薬×処方薬 の相互作用・見落としも存在する。

<例題>
【注射薬】●レボフロキサシン点滴静注バッグ500㎎
【内服薬】●ビオフェルミンR錠×3錠/分3毎食後

➡実は誤りである。ビオフェルミンR錠=どんな抗生剤でも使えるという思い込みが案外多いのだが、よく添付文書をみてみよう。

【効 能 ・ 効 果】
下記抗生物質、化学療法剤投与時の腸内菌叢の異常による諸症状の改善
ペニシリン 系、セファロスポリン系、
アミノグリコシド系、マクロライド 系、
テトラサイクリン系、ナ リ ジ ク ス 酸

ビオフェルミンR錠 PMDA

下記抗生物質リストに、ニューキノロン系は無い。つまり、ビオフェルミンR錠は不適切使用である。

●ビオフェルミンR錠➡➡(耐性菌製剤ではない)ビオスリー配合錠orビオフェルミン錠剤にかえるのが正解。

注射箋薬ならではの注意点

<例題>
●ソリター3号液 500mL
+ アスパラカリウム10mEq 2キット
 6時間かけて末梢静脈
 1日2回
●フィジオ35輸液 500mL
 6時間かけて末梢静脈
 1日1回
以下の薬をこのまま調剤してよいか?

・・・Ans:調剤してはいけない。この場合、製剤のカリウム濃度が高すぎる。

【注射薬知識:カリウム製剤の取り扱い】
注射のカリウムは非常に危険な為、以下を遵守。
●製剤カリウム濃度:40mEq/L 以下
●カリウム注入速度:20mEq/L 以下

本症例では製剤カリウム濃度は、

500mL中に 30mEq含有:10mEq(ソリター3号に含有)+20mEq(追加のアスパラカリウム)

1L中の濃度は 30(mEq) ÷0.5(L)=60mEq(mEq/L)で、濃度オーバー!

その為アスパラカリウムをフィジオに入れてもらう・注射を減らして内服薬に追加してもらうなどの工夫が必要である。

【蛇足:カリウム注射の危険性】
カリウムのワンショット静注による事故(外部リンク)は重篤である。

<例題>
●フェジン静注用40㎎®×1管
 +生理食塩水20mL
ワンショット静注
このまま調剤・投薬してよいか?

・・・Ans:調剤してはいけない。注射薬の配合変化の知識必要な場面である。この場合はフェジンは疎水コロイド製剤であり、塩化ナトリウムのイオンで塩析・沈殿してしまう。その為非電解質溶媒(10%ブドウ糖液)で希釈して静注する。

【補足:実際の現場では】
●ブロムヘキシン塩酸塩注射は酸性薬のため、塩基性溶媒で希釈すると白濁・・・
等と習うものの、現場ではまずワンショット静注で希釈する場面は少ない。
※横着なスタッフが本来静注すべきペンタゾシン注射を、ハルトマン輸液に側管投与してしまい白濁させた、なんて事例は存在するが。こういう配合変化の薬は普通は単独ワンショットである。
●ノルアドレナリン注射・ドパミン注射のように、添付文書で混合禁止されている薬も多い。ただし配合変化の知識は、前述の様に横着をした時に緊急で使う事がある。やはり知識が必要(丸暗記・できないならすぐ調べられる事)。

血液製剤の調剤・書類管理

血液製剤の調剤・書類管理

血液製剤の管理は厳重である。

特定生物由来製剤

人間の血液を由来とした製剤の事をさす。非常に危険な製剤(下記)であるため、「ほかの手段を尽くしてそれでもダメな場合の、いわば最後の手段」「もし使用する場合は、使用ロット・使用目的・患者IDと名前・使用日を台帳に記帳・20年保管する」という扱いを受けている。

非常に危険な理由はこうである。

管理人作成 血液製剤の図

これが血液製剤の作り方。これだと危険にはみえず一見問題ないのであるが、

管理人作成 血液製剤の図

実際はこの様に、(赤●の)未知の病原菌・ウイルスが混入していても取り除ききれないのである。(もちろんHIV、HBV、HCV等といった人類が発見した病原体に関しては、混入していたら使用しない)

実際に、この未知の病原菌が混入して起こった世界的な大事件が存在する。「薬害エイズ問題」である。

ミドリ十字薬害エイズ事件
ミドリ十字薬害エイズ事件

血友病患者の40%にものぼる1800人(1989年当時)が、ミドリ十字社の凝固因子製剤を投与されたがためにHIV(エイズウイルス)感染を引き起こした事件。実際に600人は、エイズの為とおぼしき症状で1989年訴訟当時にすでに亡くなっていた。

原因は血友病患者に投与されていた凝固因子製剤の中に、HIVが混入していたためだった。ちなみに凝固因子製剤を必要とする理由は、血友病患者は凝固因子を作れず出血がいつまでも止まらない病態だからである。(血友病A=凝固第8因子が欠損、血友病B=凝固第9因子が欠損、その為これらの因子を出血時に注射する)

余談であるが凝固因子製剤とHIVの因果関係が明確になり、加熱製剤とすることで危険性が消えると解ってからも(安価で大量生産できる)非加熱製剤を販売し続けていた。この様に、ミドリ十字社の悪質性が高い事件でもあった。

【補足:現代の血液凝固因子製剤】
現在は危険な献血由来製剤だけでなく、ハムスター由来の遺伝子組み換え製剤も使用されている。特定生物由来でないため危険性も少ない。製品例として以下がある。
●ノボセブン®(第7因子製剤)、2000年発売
●ノボエイト®(第8因子製剤)、2014年発売
※ノボセブンは室温保存可能なノボセブンIH®が発売され、安全性の高さに加え簡便性・携帯性が増した。

麻薬管理

DI業務

DI業務(医薬品情報管理)

DI業務は一言でいえば「薬にかんする他部署からの問合せ」である。

知識的には「注射箋鑑査」「処方箋鑑査」とほぼ同じである。やはり大学での知識が必要である。

採用薬系の問合せ

●(採用薬系)他院で便秘薬「アミティーザカプセル24μg」を使っていたが、電子カルテ入力してもヒットしない。薬は採用しているか?

➡Ans:(不採用の場合とし)代りに類似作用の採用薬を提案する。

システム系の問合せ

●(システム系)インスリン注射の単位指示を打ちたいが、0~9単位までしか入力できない。どうすればいいか?

➡Ans:これは電子カルテのシステムの不具合である。電子カルテのベンダー(電子カルテをセッティングしてくれた会社)に電話、薬剤システム担当者につなぐ。担当者に単位入力欄を1桁から2桁に増やすよう伝える。

医薬品情報・薬理系の問合せ

●(医薬品情報系)授乳婦だが頭痛がひどくカロナールでは効かない。ロキソニン使いたいが何時間開ければいいか?

➡Ans:薬物動態の問題になる。まず(乳汁分泌のある)ロキソニンは最後の手段として、他の頭痛薬がないか探る。それでも服薬する場合、以下を考察する。

(オクタノール/水)分配係数
水溶性の度合い
0.82水溶性(1未満)
細胞膜通り難い
pKa
酸アルカリ性
4.20酸性(7未満)
血中でイオン型
タンパク結合率97%フリーは3%
母乳への蓄積性
150・330min後の
乳汁中濃度
全て無ないと考察
ロキソプロフェンの母乳への移行性 より抜粋

インタビューフォームから得られる推察結果とも同じである。添付文書の「授乳婦は避ける」は、実際はそれほど神経質にならなくてよい。だが万全を期して、血中から殆ど消える330分後以降なら授乳可能、と伝えるのが正解。

ちなみに乳汁中移行を考える場合、「(オクタノール/水)分配係数」「pKa」「タンパク結合率」「血中半減期」「母乳の蓄積性」をみると良い。ロキソプロフェンの例でいくと、前者3つとも問題ないことがわかる。

<例題>
●(薬理系)「フロセミド20×1/2錠」をのませているが血圧が高い。むくみは解消したのに。どうすればいいか?

➡Ans:こういうズバリ薬理な内容も来る。こういう時、薬剤師は「利尿剤の系統ごとの特徴」「系統ごとの採用薬」ともに知ってる必要あり。

ループ系
[~セミド]
利尿強・降圧弱。
Na・Kとも捨てる
サイアザイド系
(チアジド系)
[~チアジド]
利尿弱・降圧強。
Kをかなり捨てる
カリウム保持性
[スピロノラクトン]
利尿弱・降圧弱。
Kを取込む。
アクアポリン阻害
[トルバプタン]
利尿超強力。
Naも超取り込み。
炭酸脱水素酵素
阻害
[アセタゾラミド]
利尿効果弱い為、
利尿剤でなく
眼圧低下目的の
処方が殆ど。
利尿剤の特徴

訴えからすると、「むくみ取りはあまり必要でなく、降圧効果が必要」と考える。そういう薬は「サイアザイド系」である。サイアザイド系で当院採用薬は何か・・・トリクロルメチアジド錠1㎎だ、とわかれば提案できる。

<例題>
●(薬理系)妊娠・授乳もないのに乳汁が漏れて服が黒ずむ。吐気止めの薬貰ってからこうだ。

➡Ans:患者の問題点・解決策を用意するべく聴く。まず問題点=乳汁の漏れ。乳汁の漏れを薬の副作用でみると、「バソプレシン分泌」である。バソプレシン分泌=視床下部のD2(バソプレシン分泌をとめるストッパー)がブロックされていると考える。

D2ブロッカーの薬はいくらでも存在する。

そこで・・・最近体に入れたすべての薬・サプリメントを聞き出す。

・・・すると、「ドンペリドン(中枢D2ブロッカー)」を呑んでいる事が判明。これを止める・・・だけでは吐気が出るので、D2をブロックしない吐気止めで、かつ当院採用薬のものを提案する。この場合は「五苓散」「半夏瀉心湯」などが(採用あったと仮定)提案できる。

疑義照会

疑義照会の応対

疑義照会は必ず薬剤部をとおる業務である。業務内容としては処方箋鑑査・注射箋鑑査・DI業務と類似するが、その業務に加えて「処方日数(残薬)の調節」「処方意図の確認(調剤薬局での説明用)」も行う。

<例題>【整形外科処方】
●ヒュミラ皮下注ペン0.4㎎ 5本
 1回1本 週1回皮下注射 
●エディロールカプセル0.75μg×1錠
 1日1回朝食後 35日分
以上の処方で、調剤薬局より以下の問合せあり:『ヒュミラ1本残薬が有る為、5本から4本に変えてほしい』

・・・Ans:まず電子カルテで、上記処方した整形外科の記事をひらく。そこにヒュミラに関する特別な記載がないか確認する。(例えば、今回は敢えて5本で処方したなど)

特別な記載がなくば、医師に問い合わせずに処方変更すればよい。(もちろん処方医の権限を仕様しての、代行入力となる)。処方変更の際、連絡すべき事は以下である。

主治医
(なくても可)
変更内容を電話にて
病院レセプト
(必須)
変更内容を処方せんコピーにて
調剤薬局
(必須)
変更内容を電話にて

特に調剤薬局に連絡忘れて、『○○さんの疑義照会の件ですが』と問合せられる場合が多いので注意すること。

医師への連絡が必須ではないのは、医師は忙しく(一人でも多くの患者診られた方が病院の利益である為忙しくなる)、その時間を奪う価値がなければ連絡すべきでないからである。

【補足:調剤薬局にとっての疑義照会】
●患者の安全使用の為の問合せ
●調剤報酬を加点できるから:
 〇残数調整の疑義照会:(処方変更により)30点を加点
 〇残薬調整以外n疑義照会:(処方変更により)40点を加点
「ヒュミラ5本を4本に」のような残数調整の場合は、これだけで30点を加点できる。その為近年、残数調整の細かい疑義照会が増えている。

<例題>【内科処方】
●フランドルテープ40㎎ 28枚
 1日1回 1回1枚貼付 
●トリアゾラム錠0.25㎎×1錠
 1日1回寝る前 28日分
以上の処方で、調剤薬局より以下の問合せあり:『近隣の▲▲泌尿器科で、トリアゾラム錠が処方されている。不要だと思うのでカットしてほしい』

・・・Ans:一見重複投与のために即カット、と行きたいところ。しかし患者の意図(患者確認)が抜け落ちているため、患者に以下を確認してもらう。

「他院のトリアゾラムの残薬は足りているか?あえて当院内科でもだす必要があるか?」

この場合は次の2パターンに分かれる。

処方カット
しない場合
他院トリアゾラムだけで足りない為、
あえてココでも頼んだ(と患者確認)
処方カット
する場合
他院トリアゾラムだけで十分なので、
いらない(と患者確認)

【補足:調剤薬局では】
もしカットとなる場合、調剤薬局は40点を加点できる。この場合調剤薬局は、重複防止の立派な仕事をしているので、加点して当然ともいえる。

調剤薬局の「〇〇してほしい」は鵜呑みにしてはいけない。患者確認をとらずに電話してくる場合があるためだ。

<例題>【消化器内科処方】
●ボノサップパック×1シート
 分2朝夕食後 7日分
調剤薬局より『他病院にて、クラリスロマイシン錠でアレルギー症状がでた。それでもこの除菌薬を使うべきか?』
電子カルテの処方医記録には、処方意図:ピロリ菌1次除菌 と記載。

・・・すぐ他剤変更と行きたいところだが、このような薬剤アレルギー疑の症例はお決まりの注意点がある。

【薬剤アレルギー(疑)の注意点】
●薬剤アレルギーの重篤度合は?
 ⅰ)軽症(7日服用で少しかゆい程度)・・・薬変更は必要ではない。
 ⅱ)中等度以上(1回服用で即痒み・浮腫や口内炎皮膚炎などの重症症状がある場合)・・・即変更!
●薬剤アレルギー被疑薬を使わず、処方意図を達成する方法は?

この症例でいくと調剤薬局にききとりの結果、浮腫と痒み・口内炎がでて、中止で即改善していた。つまり中等度以上のアレルギーなので即変更である。

薬剤アレルギー被疑薬であるクラリスロマイシンを、使わずかつ処方意図(=ピロリ除菌)を達成できる処方を考えておく。これは主治医に提案する為。この場合はボノサップ=アモキシシリン+クラリスロマイシン+ボノプラザンの配合剤の為NGである。

クラリスロマイシンを使わないピロリ除菌薬があるのか?・・・ボノピオンパック=アモキシシリン+メトロニダゾール+ボノプラザンなので、クラリスロマイシンを含まない。

これだけを考えてはじめて、主治医に提案しても良い(医師の時間を奪わない為にも、ここまで考えてから提案すること!)。提案内容は以下。

【本症例の主治医提案内容】
●クラリスロマイシンアレルギーが中等度以上で危険薬。
●ボノサップパックはその危険薬含有の為、危険。
●ピロリ除菌を達成でき、危険薬を含有しない製剤としてボノピオンパックが存在する。2次除菌ではないが、コメント付きで1次使用してもよいか?

ここまでできて、主治医OKを貰ったら仕上げ。以下を行って完了する。

主治医
(なくても可)
変更内容を電話にて
病院レセプト
(必須)
変更内容を処方せんコピーにて
調剤薬局
(必須)
変更内容を電話にて

<例題>
●リナグリプチン錠5㎎×1錠
 /分1朝食後 28日分
●メトホルミン錠250㎎×6錠
 /分3毎食後 28日分
●インスリングラルギン「リリー」300単位×1キット
 /夕10単位
本処方は内科の継続処方で、10/1開始。調剤薬局より問合せあり。『10/25に外科にてCT検査が判明。メトグルコはCT48時間前より休薬必要だが、中止はどうすればいいか?』

・・・もちろん、メトホルミン錠は10/23~中止しないといけない。調剤薬局薬剤師が造影CTに気が付けた事は、賞賛すべきである。

【気が付く為の思考順】
●要注意薬:メトホルミンを注意していた
●メトホルミンの添付文書の「造影CT検査の48時間前は禁忌」の文書を知っていた
●投薬時患者に『まさか、造影CTはないですよね?』と逐一確認していた
➡そこで造影CTすると解り、疑義照会に至った。

病棟業務

薬の交付(投薬)・服薬指導

薬の交付・服薬指導

まず大前提として、服薬指導を行う理由はコレである。

【服薬指導をする理由】
①正しい薬を・正しい用量で・患者体内に入れ続けるため(3原則)
●この3原則を守る為の手段として、以下の工夫を行う。
 ①-1薬をのむ意味・薬効(=薬理学)を説明
 ①-2最適な管理方法を考える。
②患者NEEDsを聞き出し、最適な薬剤・剤型への変更を提案する為

文書で書くのは簡単であるが、実際は難しい場合が多い。

①-1:薬をのむ意味・薬効(=薬理学)の説明

まず①-1薬をのむ意味・薬効(=薬理学)の説明。ポイントはコレである。

①-1薬をのむ意味・薬効の説明
●薬理を知っている(患者さんに突っ込まれた時・納得してもらえない時の為)
●かみ砕いた説明ができる。

薬の交付(投薬)・服薬指導の実例

薬理なんて患者さんが理解しないだろうから知らなくても・・・と考えがちだがそうではない。下記の様に、(納得させ・使ってもらう為に)必要な場面は結構多い。

<例題>
「潰瘍性大腸炎を治す分子標的の点滴とはいっても、今回のステラーラ®は前回使ったインフリキシマブとどこが違うの?わざわざ高い金払ってやるんだから、これならOKな理由を説明してほしい」

・・・この場合は以下の様になる。

潰瘍性大腸炎
の点滴薬です
×違いが解らない為
インフリキシマブ
・ステラーラ®の
薬理の違い説明
インフリキシマブ
でダメだったと
落込んでも、これなら
頑張れると希望を持つ

特に薬を変更する場合、薬理の違いを説明しないと「どうしてわざわざ変えるのか?」といわれかねない。

<例題>
「バイアスピリンは毎日1錠ずつだろ。昨日飲み忘れたから今日2錠でいいよな?どうしてダメなんだ?」

薬学部で習う「アスピリンジレンマ」の例である。

・・・最もらしいたとえとして、「貴方は明日忙しいから飲食できない。今日は2日分食べて飲むぞ!」とできるのかと問いても良い。

<例題>
「また肺炎と聞いたが、どうしてステロイドをこんな沢山飲ませるのか。ステロイドは骨粗鬆症が怖いから嫌だ、止めさせてほしい」

・・・ステロイドの心理的アレルギーの例である。どういう訳か世間では「ステロイドの危険性」なる情報が出回り、必要な治療であっても拒否される場合がある(とくに情報弱者である高齢者に多い)。

【補足:薬理的に説明する場合】
●ステロイドホルモンを(人体存在量よりはるかに多く)投与することで炎症性たんぱくの合成を抑え込む。それにより現在発生しているひどい炎症を確実に、迅速に止める事ができる。
●ステロイドの炎症止めは、たとえ高用量でも数日程度の短期使用くらいでは、後まで残るような副作用はでない

薬学部で習う理屈でいけば上記だが、「医者のいう事しか信用できん!」と聞く耳持たないばあいも多い。その場合はやはり、医師に説明してもらうしかなくなる。

ポイントは以下である。

●患者に問われても切り返せる情報を持っている事(信用を損ねない為:そんなことも知らずに怖い薬使っているのかと言われない為に)
●他職種に頼ってもいい(薬剤師では対応できない場合も一定数存在)。

<例題>
「抗がん剤なら朝晩の内服薬でTS-1を使ってる。なぜ点滴シスプラチンまで入れるのか?」

レジメンの説明が必要。抗がん剤はそもそも1剤で使う症例は少なく、多くの症例は抗がん剤同士の欠点を補う・補完的に高める為に組み合わせて使う。ちなみにこの例では「TS-1+シスプラチン」なので「S-1+CDDP療法」というレジメンを説明する必要がある。

<例題>
同じタケキャブ錠20㎎®が、2患者(Aさん、Bさん)に処方された。指導内容はどのようにするか?
●Aさん:前日に内科医にて、ESD処置後。病名は早期胃がん。
●Bさん:本日に内科医にて、ERCPと採石目的。病名は総胆管結石。

・・・Ans:「胃酸の分泌を抑える事で、胃への負担を緩和する薬です」では不足である。それでは添付文書や患者向け薬情でも解る内容だからだ。もっといえば、患者所持するスマートフォンで、カンタンに得られる情報だから有難みがない。

では不足しない指導内容とするには、どうするか?「(添付文書に載っている)単純な薬理学」に加えて、「(添付文書ではなく電カルに載っている)生理学・病理学」もふくめて説明する。

以下が指導例である。

Aさん>ESDにより胃がん部分を、周りの粘膜ごと剥がした。胃壁の広い範囲が剥きだしの為、胃酸に大変弱い状態。その為胃酸を抑え込み、負担を和らげる。
Bさん>総胆管結石という事で、胃酸がでる=胆汁・膵液もでてしまい胆管にさらに負担になってしまう。そのため胃酸を抑える事で、負担軽減させる。

もちろん、病院内の略語「ESD」「総胆管結石」の意味は知っていて、かつ胃酸分泌で消化管がどうなるかの生理学も必要である。

【補足:病院薬剤師の必須知識】
●ESD=Endoscopic submucosal dissection:内視鏡的粘膜下層剥離術。つまり粘膜を剥がしてしまい、胃壁は剥きだしになってしまう。
●胃酸分泌×胆嚢の生理学:胃酸が分泌すると、十二指腸のpH が低下。このpH 刺激により膵液・胆汁の合成・分泌が促される。すると胆嚢は動かされるのでただでさえ炎症・痛みあるところにひどい負担がかかる事になる。

・・・納得してもらえないと高額払ってまでやりたくない、こんな訳の分からん薬飲まなくてもいいだろ、となってしまい「ノーコンプライアンス」「2重服用」に繋がってしまう。

ちなみに①-2最適な管理方法であるが、患者の認知度・患者環境に応じて以下が考えられる。

①-2最適な服薬管理方法の分類
完全自己管理(認知よい人間の)
介入は一切不要
薬局で薬受取➡自分でイチからセットして、飲む方法。剤数が多い場合は「一包化」「日付入れ」してもらうと万全。
1週間セット(認知良い人間の)
介入は週1回必要
薬局で薬受取➡だれか(訪問看護師・同居者等)の介入で1週間分薬をセットしてもらい、薬のカラ袋は取りためてチェックする方法。
<例>たとえば訪問看護師が水曜午前中にくる場合。一包化・日付入れした薬を水曜日の昼~翌水曜日の朝まで、配薬ボックスやカレンダー等にセットしてもらう。のんだらカラ袋は専用の袋に入れてもらい、翌水曜日にチェック&次の週のセットをする。
1日セット(認知良い人間の)
介入は毎日1回必要
薬局で薬受取➡同居者が毎日朝昼夕の薬をセットし、薬のカラ袋は取りためてチェックする方法。
<例>同居者が朝から出かけて夜遅い場合でも使える方法(独居では無理)。毎朝1日分の薬をセットし、帰宅後にカラ袋をチェック。また翌朝に薬を1日分セットする。
都度渡し
(完全Nrs管理)
(認知良い人間の)
介入は1日中必要
薬の受取~本人へ飲ませるまで全ての過程を、本人ではなく同居者が行う方法。患者がどれだけ認知症でも可能・最も確実だが、服薬するタイミング全てで立ち会う必要があり、介護者の負担がいちばん大きく避けたい方法である。
<対処法>服薬方法をレベルアップさせる方法か、服薬回数自体を減らしてしまう方法。

入院中はこれら全て実践できる。そのため「都度渡し」から始め、認知状態を見て「1日セット」➡「1週間セット」➡「完全自己管理」へとレベルアップさせていく。この時注意したい事はコレである。

【患者理解力判定の注意】
自称「自己管理していた」「簡単だから管理できる」はあてにならない。高齢者・男性であるほど「患者の自称理解度>>実際の管理能力」となる傾向が強い。
(例:自動車運転に自信あると答える割合は、高齢者ほど多い(外部リンク)という実測値)
(例:高齢者男性ほど、プライドが高く「若造は」と考える傾向が強い)

その為、理解力チェックの為には「自称」はあてにせず、「実際にうまく飲めた結果」だけで見ると良い。

以下に、理解度が患者の自称>>実際 だった例を挙げる。要するに自分で解っているつもりでも、管理できていなかったのである。

理解度が患者自称>>実際だった例

スピリーバレスピマット60吸入用を処方中の患者。「家で毎日上手に使えていた」と自称した。・・・しかし服薬タイミングを確認すると、1日2回・1回2吸入も吸っていた(医師指示は1日1回・1回2吸入で増減するなと注釈付き)。目の前で吸入してもらうと、吸入の煙が口からもれていて、吸い込む動作をしていなかった。

当院内科患者で、朝夕食後の薬がある方。「毎日きっちりのんでいた」とあるが、カバンの中から「服薬できず」の袋にはいった、直近30日分の夕食後・朝食後も半分以上薬がでてきた(つまり夕食後を全く飲めず、朝もかなり失敗している)

ワーファリン服薬中の患者。ひどい鼻血で貧血・足の青あざがつよく受診したところ「貧血」であった。患者本人にきくと「ワーファリンは毎食後1錠ずつ、1日3回のんだ。前回薬剤師さんにそう説明されたし、嫁もそう言っている」と返答。(しかしワーファリンは1日1回しか有り得ない薬・前回薬剤師記録にはっきりと1日1回でと説明と患者納得の記録・嫁はそんな事言っていないとの事)。患者の理解不足に加え、作話まであった事例。

また「同居する理解力ある人間」の判断も、注意必要。

言ってしまえば「高齢男性」はやはりアテにならない場合が多い(しっかり世話できない・だが自称管理できる人が多い為)。

頼るべきは娘あたりが良い(きっちり世話するタイプが多い)。

万一、正しく飲めず患者に健康被害を来した場合・・・薬剤師は最悪の場合、過失責任の一端をとる可能性もありうる。

②患者NEEDsを聞き出し、最適な薬剤・剤型への変更を提案する

これは薬剤師にしかできない。

<例題>
「デパス2錠のんでたら倒れて、0.5錠に減らされた。21時に飲んで、2時に目覚めたらもう飲むなと言われた。朝まで寝られればいいのだけど・・・」

この例でいくと、NEEDsは以下である。

「超時間型の睡眠薬」「脱力・ぼんやり感を起こさない睡眠薬」

・・・このNEEDsを薬剤師が勘案して変更するとする。例えば「ベルソムラ錠15㎎」「ロゼレム錠8㎎」を提案できる。(もちろん院内採用薬の中でしか選べない)

<例題>
●ベシケア錠5㎎®×1錠
/1日1回朝食後・14日分
患者訴えは「夜間頻尿にたしかに困っている。でも尿が一気にでずチョロチョロ少しずつしか出てくれないから。イッキに尿出てくれれば、こんなにトイレ行かなくていいのだけど」との事。

この例のNEEDsは、「尿を一気に出したい」である。

薬剤師の勘でなら解ると思うが、処方薬の薬理がNEEDsに相応しくない。

NEEDsに適う薬理・・・前立腺肥大解消薬である。具体的には「タムスロシン、シロドシン」。主治医の記事をみると「夜間頻尿に困っている為」としかない。これはどういう夜間頻尿かまでくみ取れず、夜間頻尿=過活動膀胱薬と考えてベシケアが出てしまった場合である。

こういう細かいNEEDs➡薬の変更提案も、薬剤師の服薬指導の役割である。

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処方の代行入力

医師の診察時間・患者診察数を確保したほうが病院の利益になる。

その為医師業務を他職種が手伝うのだが、薬剤師も「処方の代行入力」を行う。

【代行入力の例】
●10月1日の内科処方を、そのまま継続で処方してほしい
●痛み止め湿布薬を希望しているので、適当に処方してほしい

 病棟詰所ストック管理

薬のストックは薬局以外にも、病院内のいろんな場所に存在する。その理由はいちいち薬局に薬とりにいってたら不利益な為。

病院内薬剤ストックの例

関連項目

病院薬剤師のシフト例

処方箋鑑査の手順(病院の場合)

注射箋鑑査の手順

DI業務

疑義照会の応対(病院の場合)

薬の交付(投薬)・服薬指導

病院薬剤師の業務例

薬剤師の職種別特徴

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