【医科】退院時薬剤情報連携加算60点の具体的な手法

診療報酬改定のたびにふえる「〇〇加算」について。算定したいけどやり方が解らない、という施設も多いはず。その為、合法的な算定方法の一例を挙げるとする。

今回は「退院時薬剤情報連携加算60点」の、具体的な手法について述べる。

全体の流れ

厚生労働省HP 「P219 :入院時のポリファーマシー解消の推進」より引用

このサイト(外部リンク)には辿り着くと思われるが、問題は「どうしたら算定できるのか?」という事。そこで、厚労省発表の算定要件を整理し、それに合致した具体的なやり方と、実例を以下で述べる。

●【医科】薬剤総合評価調整加算 100点(退院時1回)<本稿では割愛>
【医科】薬剤調整加算 150点(退院時1回・上記100点に追加可能)<本稿では割愛>
●【医科】退院時薬剤情報連携加算 60点

【医科】退院時薬剤譲連携加算60点

これは、以下の条件を満たせば算定可能である。

算定要件(=算定するための条件全て)

これが、厚労省発表の要件である(外部リンク P177~178を参照。公式の文書で恐らく一番詳しい解釈)

普通の退院指導料90点の中に、今回の60点が含まれている。そのため(~の要件を満たす為にの項で)切り分けて考える。文書をまともに読むと時間が足りない為、「要件を満たす為に(一例)」として具体的手法を付け足した。

長い為クリック

B014 退院時薬剤情報管理指導料
(1) 退院時薬剤情報管理指導料は、医薬品の副作用や相互作用、重複投薬を防止するため、 患者の入院時に、必要に応じ保険薬局に照会するなどして薬剤服用歴や患者が持参した医 薬品等(医薬部外品及びいわゆる健康食品等を含む。)を確認するとともに、入院中に使 用した主な薬剤の名称等について、患者の薬剤服用歴が経時的に管理できる手帳(区分番 号「B011-3」薬剤情報提供料の(2)に掲げる手帳をいう。以下同じ。)に記載し た上で、患者の退院に際して当該患者又はその家族等に対して、退院後の薬剤の服用等に 関する必要な指導を行った場合に、退院の日に1回に限り算定する。なお、ここでいう退 院とは、第1章第2部通則5に規定する入院期間が通算される入院における退院のことを いい、入院期間が通算される再入院に係る退院日には算定できない。
(2) 入院時に、医薬品の服用状況及び薬剤服用歴を手帳等により確認するとともに、患者が、 医薬品等を持参している場合には、当該医薬品等について実際に確認し、その名称等及び 確認した結果の要点を診療録等に記載する。
(3) 入院中に使用した薬剤のうち、どの薬剤について手帳に記載するかは、患者の病態や使 用する薬剤の種類によるが、少なくとも、退院直前(概ね退院前1週間以内)に使用した 薬剤及び入院中に副作用が発現した薬剤については記載する。副作用が発現した薬剤につ いては、投与量、当該副作用の概要、投与継続の有無を含む講じた措置、転帰等について 記載する。
(4) 患者の退院に際して、当該患者又はその家族等に、退院後の薬剤の服用等に関する必要 な指導(保険医療機関を受診する際や保険薬局に処方箋を提出する際に、手帳を提示する 旨の指導を含む。)を行うとともに、退院後の療養を担う保険医療機関での投薬又は保険 薬局での調剤に必要な服薬の状況及び投薬上の工夫に関する情報について、手帳に記載す ること。なお、指導の要点についても、分かりやすく手帳に記載し、必要に応じて退院時 の処方に係る薬剤の情報を文書で提供すること。なお、退院後、在宅療養を必要とする患 者であって、手帳にかかりつけ薬剤師の氏名が記載されている場合は、退院後の薬学的管 理及び指導に関しかかりつけ薬剤師への相談を促すよう努めること。 また、入院時に当該患者が持参した医薬品の服用状況等について保険薬局から提供を受 けた場合には、患者の退院に際して、患者の同意を得たうえで、当該保険薬局に対して当 該患者の入院中の使用薬剤や服薬の状況等について情報提供すること。
(5) 手帳を所有している患者については、原則として、退院時までに家族等に持参してもら うこととするが、持参できない場合には、必要な情報が記載された簡潔な文書(シール等) を交付し、所有している手帳に添付するよう、患者に対して指導を行った場合又は新たに 手帳を発行した場合でも算定できる。
(6) 退院時薬剤情報管理指導料を算定した場合は、薬剤情報を提供した旨及び提供した情報 並びに指導した内容の要点を診療録等に記載する。なお、区分番号「B008」薬剤管理 指導料を算定している患者の場合にあっては、薬剤管理指導記録に記載することで差し支 えない。
(7) 「注2」に規定する退院時薬剤情報連携加算は、地域における継続的な薬学的管理指導 を支援するため、保険医療機関から保険薬局に対して、患者の入院前の処方薬の変更又は 中止に関する情報や変更又は中止後の患者の状態等に関する情報を提供することを評価す るものである。
(8) 「注2」に規定する退院時薬剤情報連携加算は、退院時薬剤情報管理指導料の算定対象 となる患者であって、入院前の処方の内容に変更又は中止の見直しがあったものに対して、 患者又はその家族等の同意を得て、退院時に見直しの理由や見直し後の患者の状態等を、 患者又はその家族等の選択する保険薬局に対して、文書で情報提供を行った場合に、退院 の日に1回に限り算定する。なお、患者1人につき複数の保険薬局に対し情報提供を行っ た場合においても、1回のみの算定とする。
(9) 保険薬局への情報提供に当たっては、「薬剤管理サマリー」(日本病院薬剤師会)等の 様式を参照して情報提供文書を作成し、当該文書を患者若しくはその家族等又は保険薬局 に交付する。この場合において交付した文書の写しを診療録等に添付する。
(10) 死亡退院の場合は算定できない。

普通の退院指導料90点の中に、一緒くたに今回の60点が組み込まれている。

退院時薬剤情報60点の要件を満たす為に
(7)
60点の意味
●点数を取る意味。
無視してよい。
(8)
60点の対象
●60点を算定する為には、以下の要件を満たす。
1)通常の退院指導料90点を算定している
2)入院前処方の内容に変更or中止が有る
3)文書作成について患者or家族の同意有り
4)患者or家族の希望する調剤薬局に文書にて
情報提供した(FAX・メール・手渡し)
5)算定は退院1回につき1度きり。
(9)
報告様式
●報告様式として「薬剤管理サマリー
がある。正直いらない情報だらけで
面倒なので、項目数を絞り自作する
のが楽。
<管理人作成の参考あり>
(10)
死亡退院
死亡退院の場合は、退院指導料90点
を算定できない。
勿論、退院薬剤情報連携加算60点
も算定できなくなる。

この様に分解・単純化して考えられる。

具体的な手順

退院時連携加算60点を算定する手順

<Step1>入院時・・・患者or家族に、希望する調剤薬局を確認する。

<Step2>入院後・・・まず、入院時の使用薬をすべて把握し、先ほどの情報提供書の左側を全て埋める。

※管理人はこの文書を「持参薬検薬表(他院で使っていた薬の、当院採用薬へのおきかえ表)」に組み込んでいて、「持参薬検薬表」から勝手に使用薬を抜き出せるようになっている。

<Step3>入院前後で薬が変更or中止ありなら、それでよい。ないなら、主治医に変更できそうな薬を提案する。(あくまで入院前の薬をいじらないとダメ。ただ追加するだけでは満たさない)

<Step4>退院決定時・・・先ほどの情報提供書の右側を埋め、文書を完成させる。

<Step5>退院指導時・・・普通の退院指導をし、ついでに先ほどの文書を見せて患者or家族の同意を取る。同意をとれたら、それを(患者or家族の希望する)調剤薬局にFAX。これで算定要件を満たす。

<Step6>退院指導記録のテンプレートを作っておくと便利である。管理人はこのテンプレ文書を、退院指導の記録に組み込んで使っている。そうすることで取り漏れを防げるからだ。

【退院指導記録のテンプレート例】
●退院指導料90点を算定した➡Yes/No
●入院時処方を変更or中止した➡Yes/No
●情報提供書作成の同意を患者or家族に頂いた➡Yes/No
●患者or家族希望の調剤薬局に文書提供した➡Yes/No

・・・みての通り全て「Yes」であれば、機械的に算定できる寸法である。

引用元

令和2年度診療報酬改定について(厚労省サイト。全体的なガイド)

令和2年度診療報酬改定 Ⅳ-6 医師・院内薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用の推進 -②

令和2年3月5日保医発0305第1号 別添1(医科点数表)のP177~178(一番細かい解釈が書かれている。迷ったらこれを調べること)

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