知識的には「処方箋鑑査」「DI業務」「疑義照会」とほぼ同じである。それに加えて、「注射薬ならではの知識」が必要に。やはり大学での知識(病院業務・薬局業務の授業内容)が必要である。
注射薬×処方薬 の相互作用・見落としも存在する。
<例題>
【注射薬】●レボフロキサシン点滴静注バッグ500㎎
【内服薬】●ビオフェルミンR錠×3錠/分3毎食後
➡実は誤りである。ビオフェルミンR錠=どんな抗生剤でも使えるという思い込みが案外多いのだが、よく添付文書をみてみよう。
【効 能 ・ 効 果】
ビオフェルミンR錠 PMDA
下記抗生物質、化学療法剤投与時の腸内菌叢の異常による諸症状の改善
ペニシリン 系、セファロスポリン系、
アミノグリコシド系、マクロライド 系、
テトラサイクリン系、ナ リ ジ ク ス 酸
下記抗生物質リストに、ニューキノロン系は無い。つまり、ビオフェルミンR錠は不適切使用である。
●ビオフェルミンR錠➡➡(耐性菌製剤ではない)ビオスリー配合錠orビオフェルミン錠剤にかえるのが正解。
注射箋薬ならではの注意点
<例題>
●ソリター3号液 500mL
+ アスパラカリウム10mEq 2キット
6時間かけて末梢静脈
1日2回
●フィジオ35輸液 500mL
6時間かけて末梢静脈
1日1回
以下の薬をこのまま調剤してよいか?
・・・Ans:調剤してはいけない。この場合、製剤のカリウム濃度が高すぎる。
【注射薬知識:カリウム製剤の取り扱い】
注射のカリウムは非常に危険な為、以下を遵守。
●製剤カリウム濃度:40mEq/L 以下
●カリウム注入速度:20mEq/L 以下
本症例では製剤カリウム濃度は、
500mL中に 30mEq含有:10mEq(ソリター3号に含有)+20mEq(追加のアスパラカリウム)
1L中の濃度は 30(mEq) ÷0.5(L)=60mEq(mEq/L)で、濃度オーバー!
その為アスパラカリウムをフィジオに入れてもらう・注射を減らして内服薬に追加してもらうなどの工夫が必要である。
【蛇足:カリウム注射の危険性】
●カリウムのワンショット静注による事故(外部リンク)は重篤である。
<例題>
●フェジン静注用40㎎®×1管
+生理食塩水20mL
ワンショット静注
このまま調剤・投薬してよいか?
・・・Ans:調剤してはいけない。注射薬の配合変化の知識必要な場面である。この場合はフェジンは疎水コロイド製剤であり、塩化ナトリウムのイオンで塩析・沈殿してしまう。その為非電解質溶媒(10%ブドウ糖液)で希釈して静注する。
【補足:実際の現場では】
●ブロムヘキシン塩酸塩注射は酸性薬のため、塩基性溶媒で希釈すると白濁・・・
等と習うものの、現場ではまずワンショット静注で希釈する場面は少ない。
※横着なスタッフが本来静注すべきペンタゾシン注射を、ハルトマン輸液に側管投与してしまい白濁させた、なんて事例は存在するが。こういう配合変化の薬は普通は単独ワンショットである。
●ノルアドレナリン注射・ドパミン注射のように、添付文書で混合禁止されている薬も多い。ただし配合変化の知識は、前述の様に横着をした時に緊急で使う事がある。やはり知識が必要(丸暗記・できないならすぐ調べられる事)。
関連項目
薬剤師の職種別特徴
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