DI業務は一言でいえば「薬にかんする他部署からの問合せ」である。
知識的には「注射箋鑑査」「処方箋鑑査」とほぼ同じである。やはり大学での知識が必要である。
●(採用薬系)他院で便秘薬「アミティーザカプセル24μg」を使っていたが、電子カルテ入力してもヒットしない。薬は採用しているか?
➡Ans:(不採用の場合とし)代りに類似作用の採用薬を提案する。
●(システム系)インスリン注射の単位指示を打ちたいが、0~9単位までしか入力できない。どうすればいいか?
➡Ans:これは電子カルテのシステムの不具合である。電子カルテのベンダー(電子カルテをセッティングしてくれた会社)に電話、薬剤システム担当者につなぐ。担当者に単位入力欄を1桁から2桁に増やすよう伝える。
●(医薬品情報系)授乳婦だが頭痛がひどくカロナールでは効かない。ロキソニン使いたいが何時間開ければいいか?
➡Ans:薬物動態の問題になる。まず(乳汁分泌のある)ロキソニンは最後の手段として、他の頭痛薬がないか探る。それでも服薬する場合、以下を考察する。
(オクタノール/水)分配係数 水溶性の度合い | 0.82 | 水溶性(1未満) 細胞膜通り難い |
pKa 酸アルカリ性 | 4.20 | 酸性(7未満) 血中でイオン型 |
タンパク結合率 | 97% | フリーは3% |
母乳への蓄積性 150・330min後の 乳汁中濃度 | 全て無 | ないと考察 |
インタビューフォームから得られる推察結果とも同じである。添付文書の「授乳婦は避ける」は、実際はそれほど神経質にならなくてよい。だが万全を期して、血中から殆ど消える330分後以降なら授乳可能、と伝えるのが正解。
ちなみに乳汁中移行を考える場合、「(オクタノール/水)分配係数」「pKa」「タンパク結合率」「血中半減期」「母乳の蓄積性」をみると良い。ロキソプロフェンの例でいくと、前者3つとも問題ないことがわかる。
<例題>
●(薬理系)「フロセミド20×1/2錠」をのませているが血圧が高い。むくみは解消したのに。どうすればいいか?
➡Ans:こういうズバリ薬理な内容も来る。こういう時、薬剤師は「利尿剤の系統ごとの特徴」「系統ごとの採用薬」ともに知ってる必要あり。
ループ系 [~セミド] | 利尿強・降圧弱。 Na・Kとも捨てる |
サイアザイド系 (チアジド系) [~チアジド] | 利尿弱・降圧強。 Kをかなり捨てる |
カリウム保持性 [スピロノラクトン] | 利尿弱・降圧弱。 Kを取込む。 |
アクアポリン阻害 [トルバプタン] | 利尿超強力。 Naも超取り込み。 |
炭酸脱水素酵素 阻害 [アセタゾラミド] | 利尿効果弱い為、 利尿剤でなく 眼圧低下目的の 処方が殆ど。 |
訴えからすると、「むくみ取りはあまり必要でなく、降圧効果が必要」と考える。そういう薬は「サイアザイド系」である。サイアザイド系で当院採用薬は何か・・・トリクロルメチアジド錠1㎎だ、とわかれば提案できる。
<例題>
●(薬理系)妊娠・授乳もないのに乳汁が漏れて服が黒ずむ。吐気止めの薬貰ってからこうだ。
➡Ans:患者の問題点・解決策を用意するべく聴く。まず問題点=乳汁の漏れ。乳汁の漏れを薬の副作用でみると、「バソプレシン分泌」である。バソプレシン分泌=視床下部のD2(バソプレシン分泌をとめるストッパー)がブロックされていると考える。
D2ブロッカーの薬はいくらでも存在する。
そこで・・・最近体に入れたすべての薬・サプリメントを聞き出す。
・・・すると、「ドンペリドン(中枢D2ブロッカー)」を呑んでいる事が判明。これを止める・・・だけでは吐気が出るので、D2をブロックしない吐気止めで、かつ当院採用薬のものを提案する。この場合は「五苓散」「半夏瀉心湯」などが(採用あったと仮定)提案できる。
関連項目
薬剤師の職種別特徴
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