米国のヘルスケア・セクター(製薬企業)に属す、ギリアド・サイエンシズ(GILD)の株式分析について。
国 | 米国 |
配当金の税率 (配当税率) | 28% (=所属国の現地課税10% ×日本課税20%) |
業種11分類 | ヘルスケア・セクター |

売上高・利益・営業利益率

この15年間で売上・利益とも激増➡激減をして、もとの水準に戻っている。これはC型肝炎バブルが2014年~2017年ごろまであり、はじけたため。
売上地域については、この様になっている。

地域別推移は、この様になっている。

売上も、どの地域でも減少傾向。
株主還元(配当金・自社株買い)

営業利益は激減して元通り(左軸)。
発行株式数は右肩下がり(右軸)。苦しい中でも自社株買いを続けて減らし続けていたが、利益悪化でどこまでできるか不明。

配当金は連続増配6年である。
今後の連続増配の余裕はなく、期待薄。それは一株利益=配当金となっているため。
株価・営業利益の伸び率(平均値と比較)

営業利益・株価とも市場平均(S&P500)と比較にならない。C型肝炎バブルで本当に株価10 倍を記録した会社だが、バブルがはじけて近年低迷中である。
直近の株価
財政健全性
自己資本、他社資本(負債)、DEレシオの推移を示す。

資本・負債ともC型肝炎バブルの時期に急増している。DEレシオが最近低下気味なのは、(安定性のない会社だから信用されず)融資がうけられなくなってきている可能性がある。
売上内容について
売上内訳は、100%医療用医薬品である。その医療用医薬品での、内訳を示す。
医療用医薬品の内訳

医療用医薬品の中では、C型肝炎薬・HIV薬で殆どを占めている。
医療用医薬品>代表的な個別薬の売上について

2014年前後まで主力だった、C型肝炎薬の推移。ソバルディは全く売れず、市場から姿を消した事がわかる。ハーボニーも姿を消しつつある。
これは上位互換の薬が続発したためである(例:アッヴィのマヴィレット、当社のエプクルーサ)。または、そもそもC型肝炎患者が治癒して、患者数が激減しているからである。

こちらはHIV薬+その他。HIV薬はHIVを治癒させるのではなく、飲み続ける限り症状を抑え続ける。その為売上は安定している。
個別商品について
商品名 | ハーボニー配合錠® (一般名:レジパスビル+ソホスブビル) |
分類 | バイオ医薬品(その中で分子標的薬剤に属す) |
治療対象 | C型肝炎 |
特徴 | C型肝炎バブルの立役者だった。 現在は上位互換薬の出現・患者数減 で売上激減。 高額薬(1か月150万円)ゆえ偽薬も出回り、 大騒動を引き起こした。 |
商品名 | ソバルディ錠®(一般名:ソホスブビル) |
分類 | バイオ医薬品(その中で分子標的薬剤に属す) |
治療対象 | C型肝炎 |
特徴 | C型肝炎バブルの立役者だった。 現在は上位互換薬の出現・患者数減 で、市場から姿を消した。 |
商品名 | アトリプラ配合錠® (一般名:エファビレンツ・エムトリシタビン ・テノホビルジソプロキシル) |
分類 | バイオ医薬品(その中で分子標的薬剤に属す) |
治療対象 | HIV |
特徴 | 既存の治療薬に比べ、1日1回服用で済む 簡潔さで選ばれてきていた。しかし 上位互換薬の続発で、低迷している。 |
商品名 | ビクタルビ配合錠® (一般名:ビクテグラビル・エムトリシタビン ・テノホビル) |
分類 | バイオ医薬品(その中で分子標的薬剤) |
治療対象 | HIV |
特徴 | 既存のHIV治療薬に比べ、1日1回1錠で済む 手軽さから選ばれている。アトリプラの上位互換 ともいえて、こちらにシフトしている。 |
病院薬剤師からみた見立て
C型肝炎患者の激減で、C型肝炎薬はもう多くをのぞめない。実質HIV薬と、そのた抗菌薬の会社とみなした方がよい。
ただ売上分野が偏りすぎており、他社が競合薬を開発すると弱い。その分不安定で株価低迷しているが、ギャンブルである。
出典元(企業の年次報告書・10K・その他)
ギリアド・サイエンシズ(GILD)年次報告書(英語:2019年度・2018年度・2017年度)
コメント